ホリスティックに俯瞰すること

キメの整っている状態とそうでない肌(表皮)の構造

皮膚は「最大の臓器」と言われます。
重量は平均3キロもあります。
角質層(角層とも言います。以下"角層")を含む表皮、真皮が主な構成です。

表皮の厚さは約0.02mm程度で、よくサランラップ程度の厚みと言われます。
その中の角層は、セラハンテープを肌に貼って剥がすと壊れてしまうほど薄いものです。
この角層が、いわゆるバリア機能を持っています。

表皮の奥、一番底の部分(基底と言います)で生まれた
ケラチノサイトというタンパク質が、
徐々に上に上がり、角層の下にたどり着いたその細胞が垢となり終わりを迎えると、
今度はレンガのような層を作り、その間を脂質(ラメラ顆粒細胞間脂質)が埋めます。
それが肌のバリア構造です。死してなお肌を守る神秘。そしてとうとう剥がれ落ちます。

今回お伝えしたいことは”バリア機能”

レンガのような角質間を通る脂質。
それはセラミド、コレステロール、レシチン、脂肪酸など、
角層をめぐり潤いを与えながらラメラ顆粒細胞間脂質として機能します。
レシチンを含むリン脂質も細胞内にもありますがここにも存在します。

この構造が免疫力低下、ホルモンバランスを崩すなどの原因から
アトピー性皮膚炎のような問題が起きやすくなります。
体質、環境、どちらが先か、主因はいずれか、原因究明は複雑です。

このように自分の肌、心身を「ホリスティックに俯瞰すること」は
私たちがよりよく生きていく上でのエッセンシャル(必須)なことになります。

私たちの体、皮膚、心を知る。

食品にしても化粧品にしても全成分を見る。
全体を俯瞰し、情報を得ながら選択し、自分のための直感力を磨き、判断と選択をする。
それがとても大切なのです。

多くの会社が、ある一つの成分に特化して、「それさえ足りれば肌が綺麗になる」
というような、私たちの弱点を責める、脅すような広告をしてくるかもしれません。
でもちょっとお待ちください。
全体を学び、自分の状態を知り、バランスを考えて、
そして直感も大切にした上で、選択すること。
それが自分を大切にする人生につながります。

参考文献(一部):
・「皮膚は最大の臓器で、平均的な成人の体重の約15%を占める。」(出典:アメリカ皮膚科学会)
・「角層は平均でわずか15ミクロン程度の厚さを持ち、セラミド、コレステロール、脂肪酸からなるラメラ顆粒細胞間脂質によって保護。」(出典:Journal of Investigative Dermatology)
・皮膚のバリア機能 Dermatology, Jean L. Bolognia, Julie V. Schaffer, Lorenzo Cerroni, 4th Ed, Elsevier, 2018.
・ホリスティックヘルス『アーユルヴェーダ ホームレメディ完全ガイド』ヴァサント・ラッド、スリー・リバーズ・プレス、1998年。
・日本の自然療法、山田豊文、ナチュラルスピリット、2010年。