漢方で考える冬に老化が進みやすい原因と対処法
冬になると、木々は葉を落とし、草は枯れ、活発に動いていた動物たちも冬眠に入ります。
冬は、人も動物や植物と同じように、静かに過ごすことが大切です。
漢方では、冬は季節に逆らった生活を送ると老化が進むと考えられているからです。
特に冷えと乾燥には注意しましょう。
今回は、漢方で考える冬に老化が進む原因と、その対処法について紹介をします。
漢方では冬は老化が進みやすい季節だと考えている
漢方では、五臓という考えがあり、
肝・心・脾・肺・腎(かん・しん・ひ・はい・じん)の5つの臓腑にわかれています。
五臓というのは、西洋医学で考える臓器と同じ意味ではありません。
今回はこの五臓の中で、冬に関係が深い「腎」(じん)について説明をします。
腎は一般的な<腎臓>とは違った考え方で、次のような機能があると考えます。
1、生命活動を維持するもので、成長や発育・生殖に関係しています。
腎の機能が衰えてしまうと、生命活動が衰え、体力が低下していきます。
冬になると体調が悪くなる人は、漢方で考える「腎」の機能が衰えている可能性があります。
2、「腎」は体の中の水分代謝をコントロールしています。
腎の機能が衰えると、体の中に余分な水分が滞るため、尿が少なくなったり、尿失禁を起こしたり、頻尿になったりします。
また、水分代謝が悪くなるためむくみを起こす場合もあります。
3、腎は恐れたり驚いたりすると、腎の機能が弱くなり、老化が進みます。
冬は、感情を抑え、穏やかな気持ちで生活を送ることが大切です。
腎の機能が衰えると、大小便の失禁や流産につながることもあります。
まずは、冬になるとどのような症状が起こるのかを確認してみましょう。
冬はどのような症状が起きやすい?
冬になると毎年、同じ症状が起きるという人は、冬の季節が関係している可能性があります。
先ほど紹介をした五臓の腎が弱ると次のような症状があります。
✔︎ 耳鳴りがする
✔︎ 耳が聞こえにくくなる
✔︎ 白髪が増える
✔︎ トイレが近くなる
✔︎ 夜に何度もトイレで目が覚める
✔︎ 膀胱炎
✔︎ 体がむくむ
✔︎ 腰痛
このような症状が起こる方は、腎の機能が弱っているのかもしれません。
冬の季節に合わせた生活を送っていきましょう。
冬におすすめの食材
健康を維持するためには、毎日食べる食事が大切です。
ただし、健康に良いからといって何を食べてもいいという訳ではありません。
例えば、しょうがは体にいいので大量に食べるといったことは控えましょう。
体質によっては、肌が乾燥したり、熱がこもったりする場合があります。
自分の体質や体調に合わせた食材を選びましょう。
体を温める食材
体の冷えを改善させるためには、体の中から温めることが必要です。
体を温める食材には、しょうが・にんにく・シナモンなどがあります。
しょうが・にんにくは、常に常備しておくと便利です。
いろいろな料理に利用することができます。
シナモンは紅茶に入れましょう。紅茶も体を温める効能があります。
冬は、シナモン・しょうが・はちみつ入りの紅茶がおすすめです。
はちみつは、体を潤す効果があるので、体を温めながら喉の乾燥を潤してくれます。
血の巡りをよくする食材
冬は寒さにより、体がかたくこわばり、緊張した状態が続きます。
血行が悪くなると、肩こりや腰痛・関節痛などを起こす方が増えます。
血の巡りをよくする食材には、たまねぎ・ねぎ・酢などがあります。
体の冷えが気になる方は、外から温めることも大切ですが、毎日食べるもので改善させることも大切です。
体を冷やす生野菜や生魚などは控えましょう。
黒色の食材
漢方では、黒い食材は、冬に衰えやすい「腎」の機能を整えると考えています。
黒い食材には、黒ごま・黒キクラゲなどがあります。
<黒豆>は体に精をつけるため、滋養強壮や老化防止に役立ちます。
また、黒い食材は、冬に起こりやすい症状をやわらげる働きがあります。
体の血の巡りや、水分代謝を整える作用もあります。
<黒ごま>は、加齢によるトラブルにおすすめの食材です。
耳鳴り・足腰がだるい・肌や髪がパサパサしているといった方に適しています。
黒ごまも常に食卓に準備しておくといいでしょう。
ご飯にかけたり、ドレッシングといっしょに混ぜて利用することもできます。
<黒キクラゲ>は、乾燥したものを常備しておくと便利です。
ぬるま湯にいれると20分ほどで戻すことができます。
黒キクラゲは血をサラサラにする効果があり、更年期障害や貧血などの症状がある方にもおすすめです。
胃腸を整えたり、肌をきれいにする効果もあります。
冬はお風呂でしっかりと体を温めましょう
冬は、できるだけ毎日お風呂に入って体を温めましょう。
お風呂の入り方には、全身浴・半身浴・足浴などがあります。
目的に合わせて選ぶこともできます。
特に腰から下が冷える方は、お腹や腰回りを温めましょう。
お風呂の入り方には、次のような種類があります。
<全身浴>
体の芯から温めたい方、体のこりが気になる方は、全身浴がおすすめです。
42℃位の熱めのお湯に入りましょう。全身浴は体に水圧がかかるため、全身の血行がよくなります。
体の冷えだけでなく、肩こりや腰痛などにお悩みの方にもおすすめです。
ただし、長時間入ると疲れてしまうので時間は10分から15分位にしましょう。
<半身浴>
ゆっくりお風呂に入りたい方、心臓が弱い方など体の負担が気になる方は半身浴がおすすめです。
38℃から40℃位のぬるめのお湯に入りましょう。下半身の冷えやむくみを解消できます。
ただし、長時間入ると体の上半身が冷えてしまいます。
お湯だけでなく、浴室の温度にも気をつけましょう。
冷えが気になる方は、肩をタオルなどで温めておくことも大切です。
<足浴>
足をお湯に入れて温める方法です。全身浴や半身浴に比べて体の負担が少なく、手軽にできるのが特徴です。
足湯用の浴槽も販売していますが、バケツなどでも代用できます。
温度は、少しぬるめの38℃から40℃位がおすすめです。
足は、冷えやすく血液が滞りやすいので温めることにより全身の血の巡りがよくなります。
老化を進めないためには、しっかりと冬の間に体を整えることが大切です。
食生活を整えながら、しっかりと体を温めていきましょう。