春はイライラしたり、不安になるのはどうして?春に起こりやすい心の不調を解消する方法

春になると急にイライラしたり、落ち込んだりしませんか?
春は、新年度が始まり、新生活や人間関係の変化などにより、心に負担がかかりやすい季節です。
漢方では、春は「肝」(かん)の働きが盛んになる時期と考えられているため、
イライラしたり、落ち込んだりする「肝気鬱結」(かんきうっけつ)という状態になります。
これは、体の中の気(エネルギー)の流れが滞ることにより起こるものです。
この記事では、春になると情緒不安定になりやすい理由とその改善方法を紹介します。
目次
春に心が不調になる理由
イライラしたり、落ち込んだりするのは、ストレスが原因だと思われがちです。
しかし、体調が良ければ、少しくらい辛いことがあっても乗り切れることがあります。
ところが、夜ふかしをしたり、スマホで目を酷使したり働きすぎたりすると、
体は疲れやすくなりそれに伴い心の不調も現れやすくなります。
漢方には「心身一如」(しんしんいちにょ)という言葉があり、
これは心と体は切り離すことができないという考えを示しています。
春になると気分が落ち込みやすいと感じる方は、睡眠・運動・食事を整えていきましょう。
季節にあった養生を行うことで、不調を防ぐことができます。
春には次のような不調が起こりやすいと考えられていますので、ご自身を振り返ってみてください。
春の不調:気滞(きたい)、気虚(ききょ)、血虚(けっきょ)の違い

春は、気滞(きたい)と気虚(ききょ)の人が増えやすい季節です。
さらに血虚(けっきょ)も見られることがあります。
<気滞とは?>
気滞とは、体の中に気が滞っている状態です。(気とは、体を元気にするためのエネルギーです。)
この流れが滞ると次のような症状が現れます。
<気滞の主な原因>
ストレスと不規則な生活習慣です。
気の流れが滞ることにより、体も心も重だるく感じることが多くなります。気が滞ると次のような症状が現れます。
・お腹が張る。ガスが出る
・胸やわき腹が張る
・喉がつまる、軽い咳が出る。(喉に梅が詰まったような状態のことを「梅核気」(ばいかくき)といいます)
・ストレスにより食欲が増える
<気虚とは?>
気虚とは、体の中の気が不足している状態です。
<気滞の主な原因>
働き過ぎ・睡眠不足・過度な食事制限です。
気虚の人が激しい運動をすると、さらに気を消耗するため、症状が悪化してしまう場合があります。
気が不足すると次のような症状が現れます。
・疲れやすくなる
・食欲がなくなる
・肌にハリがなくなる
・やる気が起こらない
<血虚とは?>
血虚とは、体の中の血が不足している状態です。
春は五臓の肝の働きが活発になるため、肝が弱ると、体に必要な血が不足します。
血は、精神活動を保ち、全身に栄養を運ぶ働きがありますので、それが不足するとマイナスな面が出るわけです。
<血虚の主な原因>
目や頭の使いすぎ、夜ふかし、栄養不足などです。
女性は、生理の量が多い場合も原因となります。
血が不足すると次のような症状が現れます。
・不安になる
・物忘れする
・熟睡できない
・目が疲れやすい
春の心の不調を解消する方法

春と上手に付き合っていくためには、春の季節に合わせた養生が必要です。
春になると急にそわそわしたり、焦ったりする一方、急にやる気がなくなったり、疲れがとれなかったりします。
この時期は「五月病」になる方も増えます。
春の心の不調を解消するには、次のような方法がおすすめですのでご紹介していきます。
1、食事は朝昼晩決まった時間に食べる
朝食・昼食・夕食にはそれぞれ役割があります。
朝食は、頭と体を目覚めさせ、一日を元気に過ごすためのエネルギーを補給します。
✔︎朝食は、体を温めて消化の良いものがおすすめです。
昼食は午前中に消費した気(エネルギー)と、午後に活動するための気を補給します。
✔︎ごはんなどの糖分とお野菜お肉などをバランスよく食べることが大切です。
夕食は一日消費したエネルギーを補給します。ただし、昼食よりは控えめに。
✔︎辛いものや甘いものは眠りに影響するので控えたほうがいいでしょう。
2、食べすぎる方は食事内容の改善を
漢方では食べすぎる原因は、胃に熱がこもっていると考えます。
ストレスでついつい過食してしまう方も多いでしょう。
そんな時には、食事内容に気を使ってみてはいかがでしょうか。
例えば、からあげや油であげたお菓子などは、胃に熱がこもるため過食の原因になります。
イライラしてお腹が空いたときは、間食にも注意しましょう。
例えば、ドライフルーツやアーモンドなどがおすすめです。
漢方では食べすぎてしまうと体の中に余分な水分が滞ってしまうため、体がだるくなってしまうことがあります。
ご飯を食べるときは、お味噌汁やスープなどを食べてから、お肉やお魚などを食べるといいでしょう。
3、睡眠不足を解消する
イライラすると、いろいろなことが頭を巡ってなかなか寝つけないことがあります。
また、夜中に何度も目が覚めてしまう方もいるでしょう。
睡眠不足を自覚される方・夜眠れない方は、夕方から寝る準備をはじめましょう。
夜は、できるだけ目を休ませることが大切です。
部屋の明かりは間接照明にする、スマホやパソコンは控えることが必要です。
アロマを使ったり、音楽を聞くなどリラックスする時間を作りましょう。
お風呂は寝る2~3時間前に入ると、体の熱が下がったころに自然と眠りたくなります。
春はストレスを上手に発散させることが大切
春は、新しいことを始めるのには最適な季節ですが、
新生活が始まるこの時期は、他の季節に比べてストレスが溜まりやすくなります。
春は、無理をしないことが大切です。
あれもこれも始めたくなる方もいるかもしれません。
ですがまずは、体に不足したエネルギーを食事で補い、ゆっくり体を休めることを心がけましょう。