体の中からスッキリ!むくみ体質を整える薬膳習慣

むくみが気になる女性

朝、鏡を見るとまぶたが腫れぼったい。夕方には靴がきつく感じる。
このような「むくみ」を感じることはありませんか?

むくみは単なる水分のとりすぎではなく、体の中の巡りが滞っているサインなのかもしれません。
薬膳では、気血水や五臓のバランスの乱れによって、体内の水分代謝がうまくいかないことが原因と考えます。

むくみを予防・改善するためには、日々の食事や過ごし方にちょっとした工夫を加えること。これだけで体はゆっくりと整っていきます。
今回は、薬膳の知恵を取り入れながら、むくみをため込まない体づくりの習慣をご紹介します。
忙しい毎日でも取り入れやすいものをお伝えします。今日から少しずつ、体の中からスッキリを目指してみましょう。

漢方で考えるむくみが起きる原因と症状


漢方で考えるむくみは「水」の代謝がうまくいかず、体に余分な水分が滞っている状態と考えます。
体の中で水の流れを調整する役割を担うのが、五臓で考える「脾(ひ)」「肺(はい)」「「腎(じん)」です。これらがうまく働いていないと、むくみやすい体質になってしまいます。

この3つの臓腑は次のような役割があり、それぞれ原因が異なります。

①「脾(ひ)」は水分代謝の中枢

<役割>:飲食物から栄養と水分を吸収し、全身に運ぶ働きがあります。
<むくみとの関係>:脾の働きが弱ると、取り込んだ水分を適切に運べず、「水滞(すいたい)」と呼ばれる余分な水分が体内にたまってしまいます。
<症状>:下半身のむくみ・胃もたれ・軟便

②「肺(はい)」は水分を上から下へ送る

<役割>: 肺は気(エネルギー)を巡らせながら、体内の水分を外に発散させたり、下に送ったりする働きを担います。
<むくみとの関係>:肺の働きが弱ると、汗や尿などの排出がうまくいかず、水分代謝が滞り、むくみにつながります。
<症状>:顔や上半身のむくみ・息切れ・風邪をひきやすい

③「腎(じん)」は体内の水分の貯蔵と排出をコントロールする

<役割>: 腎は尿の排出や水分の再吸収をコントロールします。
<むくみとの関係>:腎の力が弱まると、余分な水分を体外に排出できず、慢性的なむくみに。特に高齢者や慢性的な疲労のある人に多いタイプです。
<症状>:朝起きたときのむくみ・足腰のだるさ・冷え・頻尿

むくみを予防!1日の薬膳ルーティン


むくみを改善するには、食事や生活習慣を整えることが大切です。 ここでは、朝・昼・夜、それぞれの時間帯で意識したいポイントをご紹介します。

むくみを予防するには、その日の体調や気候に合わせて、食べ方や過ごし方を少し工夫することが大切です。
少しでも意識することで、体はゆるやかに変わっていきます。


ここでは、朝・昼・夜それぞれの時間帯にできる薬膳ケアをご紹介します。
忙しい毎日でも無理なく続けられる「むくみ予防のルーティン」、ぜひ参考にしてみてください。

朝:体内の「巡りスイッチ」をいれる

✔︎ 温める朝スープで「脾(ひ)」をサポート

朝は、胃腸の働きがまだ本調子ではない時間帯。
薬膳では、胃腸の働き=「脾」を整えることが、水分代謝の第一歩と考えます。
おすすめは、しょうが・長ねぎ・豆腐のあったかスープ。消化にやさしく、体を内側から温めて“巡る力”を目覚めさせてくれます

✔︎ 一杯のお茶で巡りアップ

朝食と一緒に、はとむぎ茶や黒豆茶を飲むのもおすすめです。
これらは「利水(りすい)」作用があり、体にたまった余分な水分を外に流す働きがあります。
朝のむくみが気になる方は、まずこの一杯からはじめてみましょう。

昼:気を巡らせて、ため込まないカラダに

✔︎ 香り食材で「肺(はい)」の巡りをサポート

午前中の疲れが出やすいお昼は、「気」の巡りを整えることがポイント。薬膳では、肺の働きが水分を体の外へと発散させるカギを握っていると考えます。おすすめは、香味野菜や柑橘の皮(陳皮)など香り高い食材。しそ入り雑穀ごはん、みょうがを添えた冷奴、パクチー入りのスープなど、いつものお昼に香りをひとつ添えてみてください。

✔︎ 冷たい飲み物は控えめ

夏場はつい冷たい飲み物に手が伸びがちですが、飲みすぎは「脾」を冷やして水分代謝を悪くしてしまいます。常温か温かい飲み物を意識してとることで、内臓の負担もやわらぎます。

夜:「腎(じん)」をいたわるリセットタイム

✔︎ 黒い食材で「腎」をチャージ

薬膳では、「腎」は体の水分をコントロールすると考え、夜の時間帯は「腎」をいたわるのに適しています。
黒豆・黒きくらげ・ひじきなどの黒い食材には、腎を補う働きがあるとされ、むくみ対策にも老化予防にもなります。黒豆ごはんや、黒きくらげと野菜の炒め物などを、夜の食卓に取り入れてみましょう。

✔︎ 入浴後はアロマとお茶でリラックス

一日の終わりは、気持ちを落ち着けて「気・血・水」の巡りをととのえる時間。
入浴後には、陳皮やラベンダーの香りを取り入れたアロマやお茶で、ゆったりとした時間を過ごしてみてください。
ストレスは「巡り」の大敵。心がゆるむと、からだも自然と流れ出します。

まとめ

ハーブティー

むくみは、一日二日で変わるものではありません。
しかし、薬膳の考え方を少しずつ日常に取り入れていくことで、体の中の水の巡りが整い、軽やかさを感じられるようになります。
朝の一杯のお茶、香りを添えるひと工夫、黒い食材を選ぶ意識。どれも今日からできる、やさしい薬膳ケアです。
あなたの毎日が、少しずつ巡り、すっきりとした体と心になりますように。