<漢方コラム>秋を快適に過ごすには。秋に大切な肌と体をケアする方法

眠れない女性


夏の暑さがやわらぎ、少しずつ過ごしやすい季節となりました。
しかし、なかなか体の疲れがとれない、夜眠れないなど、体の不調が気になる方も増える時期です。

それは、夏の過ごし方に原因があるのかもしれません。
体の冷えや栄養不足などの要因もあるのかもしれません。

夏が終わる時期になると、<秋バテ>という言葉も聞かれるようになります。
<秋バテ>というのは、食欲不振や体のだるさ、疲れなどの症状のことをいいます。
また、秋は別の理由で不調を起こす場合もあります。

今回は、夏バテを秋に持ち越さない方法や、秋の過ごし方について紹介していきます。

秋に肌や体に不調が起こる3つの原因

秋に不調が起きる原因は大きく分けて3つあり、それが
  ①乾燥
  ②食べ過ぎ
  ③体の冷え
です。

漢方の考えでは、その人の体質に合わせた養生は、体の調子を整えると考えています。
自分の症状や秋の季節にあった養生を確認してみましょう。

漢方

秋の乾燥

漢方では秋は「燥邪」(そうじゃ)の季節といい、空気が乾燥しやすい季節だと考えています。
体の外だけでなく体の中にもさまざまな影響を与えます。

例えば、体の表面にある皮膚や髪の毛、鼻や口も乾燥します。
肌がガサガサになったり、皮膚に炎症を起こしたり、髪の毛もバサバサになることがあります。
体の中が乾燥すると、喉が痛くなったり、便秘になることもあります。
これらの症状を解消するためには、体を潤すことが大切です。
体の外は化粧水やパックなどで保湿する、体の中からは食事で補っていくことが大切です。

漢方で考える気血水のタイプでは「血虚」(けっきょ)の人は注意が必要です。
これは、体の中の血(栄養)が不足しているタイプです。
血虚のタイプの人は次のような症状が起こります。

<体の中の血が不足している・血虚タイプの特徴>
・顔色が白い
・肌にツヤがない
・髪がパサパサしている
・爪がもろくて薄い
・肌が乾燥している

秋は空気が乾燥しているため、他の季節より、潤いを意識することが大切です。
秋もこまめな水分摂取も大切です。
肌や体の不調を感じたら、食事内容を意識していきましょう。

食べ過ぎ

食欲の秋という言葉がある通り、秋は食べ物が美味しく感じる季節です。
過ごしやすい気温になると、体調が良くなるため、食欲が増える方も多くなります。
また、実りの秋といわれるように、穀物や果物などの収穫が多くなる時期です。
漢方では、旬の果物や野菜は体によいと考えられていますが、
体を冷やす果物や野菜も多いため、摂りすぎには注意が必要
です。

漢方では食欲が増える原因は、胃に熱がこもっていると考えます。
例えば、辛いものや脂っこいもの、甘いものをたくさん食べると食欲が増します。
胃に熱がこもっている人は次のような症状が起こります。

<食欲が増える・胃に熱がこもっていると考えられる人の特徴>
・冷たいものをとりたくなる
・便秘になりやすい
・口が乾燥する
・口内炎がある
・胃痛

食欲が増えて困っている人は、辛いもの・脂っこいもの・甘いものを控えましょう。
自然と食欲がおさまっていきます。

体の冷え

夏の過ごし方も秋の体調不良に大きく関係しています。
例えば、冷たいものを摂りすぎている、エアコンの部屋にいる時間が長いといったものです。
体の冷えは、自律神経のバランスが乱れるため、体調を崩す原因となります。

漢方では体の冷えは、さまざまな不調を起こす原因となると考えています。
例えば、夏バテによる食欲不振や、体の冷えによる血行不良などがあります。
体の中の血液の流れが悪くなると、漢方で考える気血水タイプの「瘀血」(おけつ)という状態になります。
これは、体の中で血(栄養)の流れが悪くなっている状態です。
瘀血のタイプの人は次のような症状が起こります。

<体のなかの血流の流れが悪い・瘀血タイプの特徴>
・肩こりや腰痛がある
・冷えのぼせがある
・顔色が暗い
・手足が冷える
・舌の色が紫色に近い

秋や冬に不調が起こりやすい人は、夏から秋にかけての過ごし方について考え直してみましょう。
今からでも遅くありません。
冷たいものをよく摂る方は、今日から温かいお茶や常温の水を飲むなど毎日の食生活を意識していきましょう。

秋に起こりやすい体の不調を改善させる方法

運動する人々


秋は、体の冷えと乾燥・食べ過ぎに注意しましょう。
肌の乾燥や体の不調は、自分にあった養生をおこなうことにより自然と解消することができます。
まずは、自分の気になる症状から、試してみましょう。

1、食物繊維の多い食材をとる

漢方では、肌の調子や体の不調は、腸の状態と関係があると考えられています。
肌の乾燥や不調を改善させたい方は、食物繊維の多い穀物や豆類、芋類を食べましょう。
体の乾燥や吹き出物などが気になる方は、梨・ぶどう・れんこんなどがおすすめです。
体の熱を冷ます、体の乾燥を潤す作用があります。

2、睡眠時間を維持する

睡眠不足が続くと体は乾燥しやすくなります。
漢方では、肌が乾燥しやすい方は、睡眠時間が短かったり、熟睡できない方に多いと考えられています。
夜遅くまで起きていたり、寝る前までスマホなどを見ている方は注意しましょう。

3、適度な運動をする

肌の乾燥を潤すためには、汗をかくことも大切です。
汗は、肌の乾燥を適度に潤してくれます。
また、適度な運動は、体の血行が良くなるため、体の冷えを改善させてくれます。
ただし、疲れやすい方は、激しい運動は控えめにしましょう。

秋に不調を起こしやすい方は、冷え・乾燥・食べ過ぎに注意

毎年秋になると、体調が悪くなる方は、夏から秋にかけての過ごし方に注意しましょう。
冷たいものは控える・食事を意識する・体を動かすなどです。
しかし、いきなり完璧にこなすのは難しいかもしれません。
自分の体調を考えながらできることからはじめていきましょう。